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藍染めって有名だけどいろいろあるんです。

「藍」と呼ばれる染料は世界各地で使用されています。各地によって植物も技術的なことも各地各様です。青色色素を効率的に染めることが出来る染料というのは藍に勝るものはなく、伝統的なものだけでなくジーンズのインディゴブルーとしても有名で天然藍で染められたジーンズはなかなかのプレミアものだったりします。

藍の華

写真の液面にギラッとした膜があるのがわかりますでしょうか。藍は他の天然染料とは異なり微生物により醗酵還元されることで繊維に色素を染めることができます。この醗酵還元することを業界用語で「建てる」と言います。なので「建て染め染料」と分別されたりします。液面に浮いている泡の固まりを「藍の華、藍華」と呼び、藍液の染まり具合を判断する目安になります。

日本では徳島の蓼藍(タデアイ)が徳島藩のころから有名ですね。明治以降インド藍が大量に輸入されたり、化学染料の藍などから蓼藍は下火になりますが、その頃迄は綿や麻の植物性の繊維のも良く染まる青色染料として全国的に徳島の藍染料(すくも)が引く手あまたの商品になりました。徳島で栽培されていた藍の肥料となったのが北海道のニシンからできる魚粉ということで、その需要で北海道の漁業がとっても潤い、あちらこちらにニシン御殿が乱立するフィバーぶりでした。なんだか風吹けば桶屋が儲かるのような話でなかなかおもしろいですね。
明治以降インド藍が大量に輸入されたり、化学染料の藍などから蓼藍は下火になりますが、現在は輸入されるインド藍とともに日本国内のシェア-を競っています。

琉球藍
現在studio MOFUSAでは琉球藍という藍を使用してます。日本ではマイナーですが、タイ、ミャンマー以東の東南アジアでは一般的な藍の1つです。学生時代の夏休みのフィールドワークとして出会ったのがはじまりです。藍屋さんからこんな状態で一斗缶に入れられて送られてきます。

ミャンマー藍おばちゃん

数年前にmofusaが、とあるプロジェクトでミャンマーのNGOのお仕事していた時につかっていたのが「インド藍」です。 ミャンマーとインドの国境付近にある藍の村に調査と買い付けとワークショップに行ってきた時の画像ですが、私も若い頃はやってたよーって、おばあちゃんがコンパクトに座り込んで染めて見せてくれているのはインド藍の瓶です。ちょっと日本で使うような2石の瓶とは違ってモバイルにも適した小振りな瓶です。南国では暖かいので地面に埋めなくても大丈夫ということです。藍は空気中の酸素に反応して青く発色します。ですから染液から出てすぐの糸はまだ青くないのです。
ミャンマー藍抽出

藍は染める時も醗酵という過程を経て色を得ますが、植物から色素を抽出する際にも醗酵過程が重要な工程です。写真からは想像できませんが、醗酵臭の大好きな虫がすさまじく集まってきます。虫苦手な人は要注意な染料のひとつです。

この他にも、僕はまだ触ったことが無いのですがヨーロッパの大青という植物もあります。
どの植物の藍を使うにしても藍染は他の天然染料と異なり、特殊な方法で染めるのです。「藍染め」という言葉がとても有名なので天然染料の代表的なイメージですが、天然染料のなかでも別枠的な特殊な工程で染められる染料です。
植物に含まれる色素を微生物の力を借りて染めますので、なんというか発酵臭といいますか、、臭います。この香りを臭いととるか香しいととるかは人によって様々ですが、虫除け、蛇除け効果があると言われていて野良着に適しているとされていますが、科学的に証明されているのか自信がありません。。経験的に藍を染めている近くには藍瓶からの醗酵臭で虫が多いように感じています。どんなもんなんでしょうか。